11月22日
朝5時起床。
5時起床といっても、夜中に何度も目を覚まし、ほとんど寝る事ができなかった。
さぁ今日からハードスケジュールが始まるんだ。
念入りにどこに行くか朝からチェックする。
朝食込みのホテルなので、朝はしっかり食べる事にする。
だって今度はいつ食べれるかもわかんないんだから。
8時に地下2階の食堂に行った。
先客の白人の老夫婦が一組。
その他は私だけ。
ほんとにこのホテルは大丈夫なのか。
他に泊まってる人いるんだろうか、泊り客がいないホテルもなんか怖くて嫌だな。
ボーイのお兄ちゃんに元気よく挨拶をした。
「ボンジュール」
ボーイのお兄ちゃんは無言。
客が挨拶してんのに、スタッフのあんたが挨拶しないとはどういう事だ。
ボーイのお兄ちゃんが無言で私のテーブルに立つ。
なんか言えよ、黙ってちゃわからないだろ。
私もどうしていいか困るじゃないか。
フランス語も英語もダメなんだから。
とりあえず「カフェ」って言ってみた。
ボーイのお兄ちゃん無言で立ち去る。
よー兄ちゃん聞こえてんのか、「カフェひとつですね」ぐらい言えよ。
お兄ちゃんまたも無言でパンを持ってきた。
カゴに小さなフランスパンとクロワッサンを1個づつ。
クロワッサンは美味しいけど、このフランスパンはいつの?
固くて歯が折れそうだ。
ねぇねぇ、お兄ちゃんチーンしてって言いそうになった。
カフェを持ってきてくれたがまたも無言。
お兄ちゃん朝から機嫌が悪いんだね、だから誰とも話ししたくないんだ。
そんな事許せると思ってんのかい。
客商売だよ。
ほんとに困ったボーイだ。

今回フランスに行くって決めてから、フランスに留学中のショップのお客さんから偶然メールを貰った。
フランスに買い付けに行くんですよってメールしたら、同行したいという事で、今回買い付けに同行してもらった。
フランス語通訳してもらえればラッキーだし、それよりか今回は独りで買い付けなので心細かった。
その彼女と今日はホテルで待ち合わせしてるんだ。
9時にホテルに来てねって言ったものの、ロービーすらないホテルなので、彼女ビックリしないか心配になった。
でもまぁ彼女はフランス語できるし、何かあればフロントのテカテカオヤジが電話してくるだろう。
8時30分過ぎに電話がなった。
テカテカオヤジが君の友達が来てるよ。彼女が一緒に泊まりたいって言うんだけど、君はいいかい?って聞いてきた。
OKだけど、詳しい事を彼女と話したいから電話を変わって頂だいと言った。
言ったといっても「テレフォン チェンジ」って言っただけだよ。
私は単語でしか話できないんだから
テカテカオヤジにその単語が通じたのか、彼女と話をする事ができた。
ツインルームなのでイモトサンさえよければ一緒に泊まってもいいですかって尋ねられたので、私の宿泊費は日本で支払済みだから、私に請求が来なければ私は全然構わないよって言ってあげた。
それで、無事彼女は私と同室する事になった。
彼女が部屋まで上がってきた。
彼女の第一声は「あっやっぱりお店の人だ」
そうです、私が間違いなくライフルームの人なのです。
ショップのお客さんとまさかフランスで会うとは思ってもなかった。
それも一緒に泊まるなんて。
運命って凄いよね。
独り言を連発していた私は、彼女を見るなり昨日の1日の出来事を機関銃のように喋り始めた。
あー日本語で喋れる。
独り言連発記録はたった1日で終わったけど、凄く苦痛だった。
普段はそんなに話好きな方でもないけど、喋れないとなると無性に喋りたくなるんだね。
30分程喋り続けて、あーそうだ私は喋りに来たんじゃないんだ、買い付けに来たんだって思い出した。
そろそろ買い付けに行こうかっという事で、ホテルを出発した。

あー13年ぶりのパリだ。
昨日は夜の8時に空港から直接ホテルに来たから、まだパリの地面に足を着けてなかったんだ。
でも感動ばかりしてらんない。
これからメトロに乗るんだ。
道行く人皆が犯罪者に見える。
善人と悪人の区別がつかないので、スリにあわないようにバッグを握り締めメトロの切符売場に行った。
彼女に5日間有効の切符を買ってもらう事にした。
だって私は「回数券下さい」としか言えないんだもん。
5日間有効のそれも1ゾーンから3ゾーンまでの切符をくださいなんて言えっこないよ。
無事切符をゲット。
さあここからが危険地帯に突入なんだ。
乗る間際に押すフリしてスルとか。
ちょっと油断したらやられちまうんだ。
神経ピリピリ、空手の構えをして乗り込む事にする。
文句あるならかかってこんかいの格好のまま下車する駅に着いた。

どこの出口を出れば、行きたい場所に出るかもわからず適当に出る。
行きたいお店を発見。
やっぱりなるようになるのさ。
9時30分開店なので、入り口でしばらく待つ。
9時30分と同時に店内に入る。
上の階から順番に見て周る。
どの商品を見ても日本より高い。
日本のデフレを感じつつ、良さそうなインセンを大量購入。
レジに持って行くと、レジのおばちゃんはこのカードを作れば10%OFFになるよ、作るかい?
作る作る。
それじゃ、下の階で作る所があるから、そこに行って作ってきなって教えてくれた。
下の階まで降りて、カウンターのお姉ちゃんに安くなるカードを作る意思を伝える。
お姉ちゃんはフランスで働いている事を証明するものが必要だよっていうんだ。
1日店員になっていいんだったら、ここの店員になるけど無理だろ。
証明するものなんてないよ、だって私はフランスで働いてないんだから。
仕方ない、安くなるカードは諦めるか。
上に戻ってレジのおばちゃんに事情を話す。
おばちゃんは残念だねって、定価でレジを打ち始めた。
下の階に降りていくとデザインが良いソープボトルを発見。
すぐさまゲット。
文具売場を見て周り、黒板、鉛筆、黒板消し、鉛筆削りのセットをゲット。
ここのお店で大量購入したので、デタックスの手続きをする。
近くに古本市がある事は事前調査済み。
セーヌ側の横でやっているはずなのに、誰もいない。
ここでかわいい絵本があれば購入しようと思っていたのに。
残念、諦めるか。
荷物が多くなってきたので、一旦ホテルに帰る事にする。

ホテルに戻り、近くの駅からバスでポンピドゥーセンターに移動することにした。
バスもメトロも同じ値段で、しかも私が買った切符が使える。
これはラッキー。
メトロよりバスのほうが安全だそうだが、バスにはアナウンスがない為、自分で降りるバス停まで指折り数えてボタンを押すしかない。
自分が降りたい停留所より行き過ぎるかもしれないし、停留所の手前で降りる羽目になるかもしれない。
停留所のチェックをしていないと、とんでもない事になる。
ハラハラしながら、停留所のチェックをする。
近くの停留所まで来たので、すかさずボタンを押す。
「次ぎ止まります」の表示。
無事、希望の停留所で降りることができた。
ここには近代美術館がある。

そこのミュージアムグッズを売っているお店に行きたかったんだ。
入り口ではセキュリティーチェックがある。
かばんを開けて、変な物持ってないかチェックされる。
私はそんな変なもの持ってないよ。
無事通過。
本、ポストカードなどを売っているお店を発見。
面白そうなものがあるんだが、たくさんありすぎてどれが面白いのかわからなくなってきた。
私はこの変なポストカード好きだけど、これが売れるかっていったら疑問だし。
難しいな。
ここでは結局何も買わなかった。
このポンピドゥーセンターの広場で大道芸人が競っているそうなのだが、誰もいなかった。
なんだ、せっかく楽しみにしていたのに。

近くのマレ地区界隈を散策することにした。
このマレ地区界隈は個性的な雑貨などを売っているお店が多い地区なんだ。
新進クリエイターがデザインをした商品を置いているお店に行ってみた。
面白いけど、うーん、イマイチ。
何件か見て周ったが、どれももうひとつ。
しかも高すぎる。
この辺りで遅いお昼にするか。
ユダヤ人界隈でピタパンにヒヨコマメのコロッケや野菜をサンドしたサンドイッチを食べる事にした。

ヒヨコマメのコロッケって始めて食べたけど、なんか喉がつまりそう。
なすびの素揚げも入っていてちょっとボリュームありすぎ。
体調不良で半分以上残してしまった。
健康なら1個丸ごと大丈夫だったのに。
残念。

おー、DULTONを置いているお店を発見。
間違いなくDULTONだ。
なんか嬉しくなってきた。
カエルのジョウロも売ってるし、オールドファッションスケールも売ってるよ。
値段を確認。
ウチと変わりない。
ウチより高いかなって思ったけど、そんな事ないんだ。
パリでDULTONと会えるとはねぇ。
いろいろ見て周ったが、買いだねっていう商品に出会う事はなかった。

徒歩でホテルまで帰る事にした。
予想ではホテルまで1キロ、20分ほどで帰れるだろう。
途中でスーパーを発見。
ワインとミネラルウォーターをゲット。
ホテルに到着。
少し休憩して、アメリが石きりをしたサンマルタン運河に行く事にする。
途中で強烈な肉屋やシシカバブのお店の前を通る。
この辺りはシシカバブのお店が多い。
シシカバブ地区なんだな。
サンマルタン運河に着いたが、ここがあのアメリを撮影した場所なのだろうか。
アメリが撮影された季節ではないので、青々した緑はないが、ちょっとぐらいアメリの雰囲気があってもよさそうなのに。
自分の中のイメージとは随分違う、楽しみにしていただけあってかなりがっかり。
近くに有名な本屋があるのでそこを覗いてみる。
佐川急便の本を発見。
フランス語?英語?バージョンの本で、外国から見た佐川急便ってこんな感じなのかなっていう所が面白い。
個人的に買いたかったがちょっと高すぎるしなぁ。
でも欲しいな。
買って帰って佐川の配達の兄ちゃんに見せたいなぁ。
どうしようかな、でも高いよな。
うーん。
やっぱり諦める。
佐川の兄ちゃんに見せる為だけに買っても仕方ないし。
ここで絵本を何点か購入する事にした。

近くの古着屋とセレクトショップに立ち寄ったが、どれも高すぎて手が出ない。
めちゃくちゃいいやんかっていう商品の値段を見ると、そりゃこんなにお高いんだもん、よくて当たり前だよなっていうのが多すぎる。
チープでかわいいものそして日本人受けする物、これがなかなか探し出せない。
お高くてデザインがいい物はいっぱいあるけど、果たしてそれがウチのショップで売れるかどうかは別問題。
日本はちょっとおかしいほどのデフレなので、そんなにお高い物が売れるはずもない。
ウチは有閑マダム御用達のお店じゃないんだ。
程よいお値段でいいデザイン、これウチのショップの基本。
その基本に忠実に従い、いい物を探してるんだけどなぁ。
フランスに来たのはやはり失敗だったのかな。
あーまた胃が痛くなる。

今日はこれぐらいにしてホテルに帰ろう。
来た道を帰ればよかったのに、こっちの方角に行けばきっと大丈夫と思い横道をそれた。
大通りを歩けばいいのに、細い路地を歩いた。
外はもう暗いし、誰も歩いていない。
途中高架のような所を通らなければならなくなった。
やはり高架だ、ホームレス発見。
その横でユダヤ人のおっちゃんが屋台出してる。
なんか怪しい雰囲気。
かなりやばい。
引き帰せばいいものを、なぜか足は前へ前へと進んで行く。
何て好奇心旺盛な足なんだ。
ホームレスとユダヤ人の前を超特急で通り過ぎる。
あー面白かった。
ハラハラ、ドキドキした。
何事もなくて何より。
グルグル周りやっと来た道に戻ってきた。
シシカバブ地区だ。

ホテルに戻り、夕食をどうするか考えた。
今からまた外に食べに出るのはおっくうだ。
隣りのミニスーパーで食べ物を調達しよう。
リンゴ、オレンジ、ヨーグルト。
なぜかかわいいゴミ袋を発見し、それも購入。
今日の買い付けノルマ達成せず。
神経性胃炎で倒れそう。

本日の買い付け歩数:18273歩